これまでの取組

九州国立博物館は開館前の2005年から、本展にも出品されているトルキ山の彩色木棺の保存修復と科学的調査を実施しました。この国際協力事業は、中国の国宝である一級文物に対して、日中の技術者が一致協力して保存にあたるという画期的な事業でした。また、2010年8月にはこれまでの共同研究等の実績を踏まえて、さらなる交流を促進するために内蒙古博物院と九州国立博物館は学術文化交流協定を締結しました。本展は、この交流がかたちとなった記念すべき展覧会です。

トルキ山古墓 彩色目下の保存修復の過程について

冷凍庫のような内蒙古の地下の中で1000年もの長い間安定した高湿度環境が続いたことで、通常では腐ってしまうような木材や織物が奇跡的に保存されてきました。2003年にトルキ山古墓が発見された時に木棺は水に濡れて鮮やかな輝きを保っていたといいます。しかし、新鮮な空気に触れた木棺は腐ってしまう危険性があるので乾燥する必要がありました。内蒙古文物考古研究所では、ビニール製の覆いを木棺にかぶせて、時間をかけて緩やかに自然乾燥することにしました。
2007年6月に日本側が保存処理の相談を受けた時に木棺はすでに乾燥していました。乾燥した木棺は当初の形を止めていましたが、脆くなって崩壊している部分もありました。表面は金箔の剥がれが目立ち緑・青・赤の彩色も粉体化していました。彩色の上にはホコリや泥が被って全体的に汚れていました。発掘当時の輝きを蘇らせて安全に保存するには、高度の保存技術と慎重な作業が必要でした。そこで、日本の文化財保存技術を内蒙古で継続的に発展させられるように技術移転するという視点に立って、できるだけ現地で入手可能な材料を使いながら、日中の技術者が共同で保存処理を行う基本方針をたてて実施しました。

「レーザーによる三次元計測作業」「彩色の蓋のクリーニング」

「日本の伝統技術による金箔の剥落止め」「剥落止めによって安定した金箔」剥落部分の調査、金箔の剥落止め、固着した泥の除去、劣化の激しい部材の強化、欠損部の補填、金箔と彩色の剥落止めの順序で実施。また、三次元計測技術を使って複雑な彩色の構造を記録しました。

こうして、中日の文化財保存技術が結実し、世界に先駆けて美しく色鮮やかに復活した彩色木棺が出品されることになりました。

きれいな彩色木棺の写真